今回は大問2の振り返りを行います。前回記事はこちら。問題は東京都が公開しており、ダウンロードをすることができます(こちらからどうぞ)。
【大問2】全体の難易度〈★★★☆☆〉
・全体の所感
➝問1よりは歯ごたえがあるものの、それでも例年ほど難易度は高くない印象。とはいえ、作業をおろそかにすると引っかかってしまう恐れがある。
・問1 都市と雨温図の特定(予想正答率70%)
➝説明文から都市と雨温図を特定する問題。とはいえ、説明文中の「夏季は高温で乾燥し、冬季は温暖で湿潤となる気候」という表現から地中海性気候が確定。選択肢を見ると、ポルトガルの都市(おそらくリスボン)が示されているため、Dが正解となる。
もし難しくするのなら、僕だったらオーストラリアのパースあたりを選定するかなあ。南半球の地中海性気候なので正答率をさらに20%引き下げられるだろう。その意味でこの問題はひねりは少なく、しっかり準備した受験生は正解できてほしい。
・問2 国の特定(予想正答率50%)
➝定番の東京形式の読み取り問題。数値や説明文中のキーワードを参考にしてどの国を指しているか、判断していく必要があります。今回題材になった国はフランス、オマーン(西アジア)、アメリカ合衆国、ペルー(南米)です。
読み取りの鉄則は大きく二つ。まず、判断しやすいものから処理していくこと。今回は一人当たりの国民総所得があるので、イとウは先進国であることが判断できるでしょう。つまり、イとウはフランス、アメリカのいずれかということになります。
そして二つ目の鉄則が、作業をしながら解くこと。
まずはアメリカが特定しやすいでしょうか。説明文中の「高速道路(フリーウェイ)」「道路沿いの巨大なショッピングセンター」は教科書でも記載があり覚えている人もいるでしょう。
極めつけは多民族国家!アメリカには白人系、黒人系、アジア系、ヒスパニック系、先住民など様々な人々が暮らしています。よってウがアメリカ合衆国確定です。
そうなるとウの次に一人当たりの国民総所得が高いイはフランスとなります。「キリスト教徒(カトリック)の割合が最も多く」や「鞄や洋服などの世界的なブランド店の本店が立ち並ぶ」ということからも判断できるかと。
残ったアとエですが、エは宗教で判断できますね。イスラム教の分布が東南アジア、西アジア、北アフリカということを理解できていればエがオマーン(西アジア)だと判断するのは難しくないでしょう。そして、乾燥帯砂漠気候に属する西アジアでは農業ができるオアシス周辺で「なつめやし」を栽培していることも押さえておきたいところ。
消去法でも判断できますが、アの解説も。この中では一番判断が難しいですが、比較的わかりやすいのが「ポンチョや強い紫外線を防ぐ帽子」ですね。アンデス山脈の標高の高い地域に住む人々は、強風を防ぐための外套(がいとう)であるポンチョや紫外線を防ぐ帽子を身に着けています。また、「じゃがいも」からも判断ができるでしょう。ペルーの標高の高い地域では寒さに強いじゃがいもが栽培されています。
繰り返しますが、読み取りの鉄則は判断しやすいものから処理していくこと、そして作業をしながら解くことです。特に今年の問題は例年ほどひねられていませんから、作業をすることで正答率を高めることは十分に可能でしょう。
・問3 国の特定(予想正答率60%)
➝問3は資料の読み取り要素を強めた国の特定です。題材は東南アジア諸国で選択肢はインドネシア、ベトナム、ラオス、タイとなっています。
読み取り自体は思ったほど難しくありません。ここでも丁寧な作業が重要です。まず、Ⅰの略地図の判断から。「2001年に約2164億円であった日本からの輸出額は、2021年には約2兆968億円となり」とあるため、この段階でベトナムとラオスの二択になります。
その上でⅡの略地図に注目すると、「2001年に179社であった進出日本企業数は、2021年には1143社へと増加」とあり、この時点でベトナム一択となります。
ちなみに国の特定は歴史的な知識でも判断可能で、「国が南北に分離した時代を経て、1976年に統一」というところからベトナム戦争に結び付けた受験生もいるかと思います。
ただ、一番の難関はベトナムがどこにあるか理解しているかでしょうね。タイとインドネシアを消去できたとしてもラオスとの二択で悩んだ受験生も多いと思います。こういった問題もあるので、都立の社会を攻略するためには主な国々の位置は把握しておく必要があります。
大問3の解説はこちら。ぜひお読みください。