【自作問題】東京都入試型(問2)①

 マークシートながらも歯ごたえのある入試問題が多く出題される東京都の社会。今回は、東京都入試タイプの自作問題を作成しました。読み取り問題です。ぜひ、挑戦してみてください。解答・解説は問題画像の後ろにあります。


難易度〈★★☆〉

※難易度の目安
〈★☆☆☆〉基礎。東京都入試よりも易しめ。
〈★★☆☆〉標準。東京都入試並の難易度。
〈★★★☆〉応用。東京都入試よりも難しめ。
〈★★★★〉発展。難関国私立入試レベルの理不尽な問題。






















〈答え〉
W:エ X:ア Y:イ Z:ウ

〈解説〉
 東京都の読み取り問題は細かいヒントをもとに答えを導く傾向があり、判断を悩まさせる選択肢が多く出されます。今回のテーマは宗教ですが、判断するポイントを見つけられましたか??順番に見ていきましょう。


【ア】
 ポイントは「ポルトガルの首都リスボンをモデルに作られた」ではないですよ。これは受験生をひっかけるダミーのヒントです。見るべきは「三大宗教以外の宗教を国民の大多数が信仰」「キリスト教を信仰する者は全人口の5%未満」というところ。つまり、アの説明文の国はキリスト教ではない宗教を信仰している。それも三大宗教(キリスト教、イスラム教、仏教)以外で。


 となるとあとはユダヤ教かヒンドゥー教くらいしかありませんね。略地図を見るとXがインドですからインドの説明だと判断できるでしょう。ちなみに、ポルトガルが出てくるのはインド航路を開拓したのがポルトガル人のバスコ・ダ・ガマだからですね。16世紀にはポルトガルはアジア貿易で隆盛を誇りました。日本にも1543年にポルトガル人が漂着していましたね。


【イ】
 ポイントは、「正教会に属する信徒が最も多い」ですね。キリスト教の宗派にはカトリック、プロテスタント、正教会がありました。カトリックの信徒が多いのはイタリアやフランス、プロテスタントの信徒が多いのはドイツやイギリス、そして正教会の信徒が多いのはロシアやギリシャです。ということでYのロシアと判断できますね。


 ちなみにキリスト教徒の推定人数からも判断可能です。ロシアの人口は日本と同じくらいの約1億2500万人ほど。国民のほとんどがキリスト教徒ですから唯一1億人を超えているイがロシアと判断できますね。ちなみに、数の多さだけでインドと判断してはいけませんよ。インドの人口はおよそ14億人。キリスト教徒はその人口の僅かを占めるにすぎません。仮に5%だとしても7000万人であり、到底1億人を超えるわけがありません。


 さて、ここまではわりかしスムーズに行く方ですが、ここからが厄介。残ったのはWのエチオピアとZのボリビアです。東京都の入試は世界の主な国々が分かっていないと太刀打ちができません。この二国も知っておいてほしいところ。









【ウ】
 ポイントは「スペイン植民地時代」です。大航海時代にスペインは南アメリカ大陸に進出し、その大部分を植民地としました。それゆえ、現在でも南アメリカ大陸のほとんどの国がスペイン語を公用語としています。ちなみにカトリックを広めるために結成されたイエズス会が積極的に布教活動を行ったことで現在でもキリスト教の中でもカトリックの信徒が多いことも特徴といえます。


【エ】
 ポイントは「標高3000m以上の地」ではありません。これに注目してしまうと、アンデス山脈に接するZのボリビアと混同してしまうでしょう。本当のポイントは「イスラム教を信仰している国民も一定数存在する」です。


 そもそもイスラム教徒が多い地域は??










 それは、東南アジア、西アジア(中東)、北アフリカです。Wのエチオピアはギリギリ北部に位置していますからイスラム圏の影響を受けていることも十分考えられます。反対にスペインなどヨーロッパ諸国の影響を強く受けた南アメリカ大陸の国でイスラム教徒が一定するいるとは考えられません。この点からもエの説明文はWのエチオピアと判断できるでしょう。


 ちなみにエチオピアには標高3000mを超える高原地帯(エチオピア高原)があります。この高原では冷涼な気候を生かしてバラの栽培が盛んなことも押さえておくと良いでしょう。



 いかがだったでしょうか。東京都の社会は細やかで遠回しなヒントに気がつけるか、ミスリードや引っかけの情報に惑わされないかが大事です。まずは、日ごろから教科書を読み、知識の定着させること。そして知識の結び付けを強化しましょう。