【自作問題】千葉県入試型(問4)①



 今回からしばらくは歴史分野から出題していきます。まずは原始・古代!千葉県入試頻出の世界の出来事と日本の出来事のつながりは理解できていますか??前回の問題はこちら



難易度〈★★☆☆〉

※難易度の目安
〈★☆☆☆〉基礎。千葉県入試よりも易しめ。
〈★★☆☆〉標準。千葉県入試並の難易度。
〈★★★☆〉応用。千葉県入試よりも難しめ。
〈★★★★〉発展。難関国私立入試レベルの理不尽な問題。


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答えと解説はこの後にありますよ!




































〈答え〉
① イ ② ワカタケル ③ イ ④ ア → エ → イ

〈解説〉
 今回は原始から古代にかけてのダイジェスト問題。千葉県の頻出形式をどんと盛り込みました。一つずつ確認していきましょう。


 まず①から。紀元前1万年ごろ、日本列島が形成されたころの日本は何時代でしょうか??






 縄文時代ですね。氷河期が終わったことで、海面が上昇し、日本列島が形成されました。温暖化により、緑地も形成され採集生活も盛んになったのがこの頃。氷河期のころはナウマンゾウやマンモスといった大型の動物が中心でしたが、縄文時代になるとシカやイノシシといった中型の動物が中心になっていきます。これらの動物は素早いので弓矢が用いられるようになりました。こういった狩猟採集生活により、ある程度安定した生活が送れるようになったことで人々は竪穴住居をつくり、定住を始めました。それを踏まえるとイが正解のようですね。


 しかし、後半の「ひすいや黒曜石などの交易が広い範囲で行われていた」が気になります。矢じりなどの原料となった黒曜石は長野県の和田峠など限られた場所が産地となっています。ひすいも同様ですが、これらの黒曜石、ひすいは九州から東北地方までの広い範囲で出土されています。これは、限られた範囲であるものの縄文時代の人たちが交易を行っている証拠ですね。物々交換を通して生活に必要なものを工面していたという訳です。


 正解がイで確定したところで他の選択肢も吟味してみましょう。アは「稲作」とあるため、弥生時代ですね。「薄手で赤褐色」というのは弥生土器の特徴でした。ちなみに縄文土器は「厚手で黒褐色」という特徴がありますが、これは技術が未発達で高温で焼成できなかったことが関係しています。高音出ないがゆえに黒っぽく、型崩れを防ぐために厚手に作っているんですね。また、縄文土器の由来となる縄目の文様は型崩れを防ぐために焼くときに縄で補強していたことが関係していると考えられています。


 ウですが、「争い」がポイントですね。弥生時代の人骨は頭部がないもの、頭部に矢がささっているものが見られるようになります。これは弥生時代になると「争い」が頻繁におこるようになったからですね。稲作が行われるようになったことで集団をまとめる指導者が登場し、貧富の差が拡大します(米は備蓄可能な作物なため)。また、水利権や豊かな土地を求めて対立もおこるようになったため、周囲を柵や堀で囲う集落(環濠集落)が見られるようになりました。よって、ウは弥生時代の説明となります。


 エですが、ナウマンゾウで判断できますね。ナウマンゾウやマンモスといった大型の動物が生息していたのは旧石器(=先土器)時代ですね。ちなみに、長野県の野尻湖ではナウマンゾウの化石が発見されています。


 続いて②にいってみましょう。カタカナ指定もあり、意外と簡単だったかもしれませんね。478年は古墳時代。古墳時代には大和政権という強力な中央政権が誕生しています。この大和政権の長を「大王」といいます。余談ですが、「天皇」と呼ばれるようになるのはもう少し先で7世紀の後半、天武天皇が呼称として使用したと言われています。


 5世紀のころには、倭の五王(讃・珍・済・興・武)が活躍しました。そのうち、武がこの「ワカタケル大王」とされています。ワカタケル大王の影響力は西は九州、東は関東地方にまで及んでいました。


 なぜ分かるかというと、埼玉県の稲荷山古墳からは「ワカタケル」の銘が刻まれた鉄剣が、熊本県の江田船山古墳からも「ワカタケル」の銘が刻まれた鉄刀が発見されているからです。つまり、九州や関東地方にまで「ワカタケル」の名が轟いていたんですね。古墳の名前と一緒に覚えておきましょう。


 ちなみになぜワカタケル大王が朝鮮半島で優位に立ちたかったかというと、朝鮮半島の資源(鉄)が欲しかったからですね。この時代は鉄資源の豊富さがそのまま国力につながる時代でしたので。


 続いて③ですね。かなり難しかったと思いますが、2023年度入試では弥生時代中期のころの世界のできごとを選ばせる問題が出題されました(答えはローマ帝国に成立)。トレンドともいえる問題ですので、ここは正解できるようになっておきたい!


 聖徳太子が小野妹子を遣隋使として派遣したころ、実はアラブの地域でイスラム教が興りました。610年にムハンマドがイスラム教を創始しています。三大宗教のうちでもっとも新しい(とはいっても約1400年前ですが)のがイスラム教。仏教は紀元前6世紀ごろ、キリスト教は1世紀に成立しています。


 他の選択肢も確認しておきましょう。アはこの中では最も新しいできごとですね。15世紀に全盛期を築いたインカ帝国は、16世紀半ばにヨーロッパ人の手によって滅ぼされました。ヨーロッパ人が海外に進出するのは大航海時代(15世紀)以降ですから、そこで判断できれば選ばなかったでしょう。


 ウのイエスの誕生は大丈夫ですね??西暦はキリスト教を創始したイエスの生誕を基準としていますので、明らかに時代が違いますね。近年は、イエスの生誕は紀元前4年ごろとされています。エの十字軍遠征は1096年のことです。日本は平安時代後期、白河上皇の院政開始(1086年)と同時期と覚えておくといいでしょう。





 最後に④の解説を。千葉県形式の並び替えでは4つの選択肢のうち、指定の時期にあてはまる3つを並び替えるという形式が定番となっています。今回は607年から894年までの間におきたできごとを3つ選んで並び替える必要があります。早速、選択肢を吟味してみましょう。ポイントは時代の分かるキーワードが見つけられるかですよ。


 アの選択肢のキーワードは「白村江の戦い」ですね。白村江の戦いは663年におこったできごとです。中大兄皇子というキーワードからも飛鳥時代のできごとということは読み取れるでしょう。


 イの選択肢のキーワードは「桓武天皇」「坂上田村麻呂」ですね。ともに平安時代初期に活躍した人物です。桓武天皇が平安京に遷都したのが794年ですのでおそらくその前後と判断できれば十分です。少なくともア→イの流れは確認できました。


 ウの選択肢のキーワードは「摂関政治」と「藤原頼通」。摂関政治の全盛期は藤原道長とその息子である藤原頼通のときであり、11世紀前半のできごとです。よって、これが選んではいけない選択肢ですね!平安時代の政治史は天皇親政(8世紀~9世紀)→地方の乱れと武士の登場(10世紀)→摂関政治の全盛期(11世紀前半)→上皇の政治(11世紀後半~12世紀前半)→平氏政権(12世紀後半)とおおまかな流れを理解していると良いですよ!


 エの選択肢のキーワードは「聖武天皇」「大仏の造立」ですね。聖武天皇は奈良時代を代表する天皇です。743年に東大寺に大仏を造立することを命じています。また、同年には公地公民制崩壊のきっかけとなる「墾田永年私財法」を出していますね。


 ということで、ア → エ → イが正解となります。歴史の問題で間違えた場合は時代判別のトリガーとなるキーワードを探し、その語句を教科書でチェックすること、そして周辺の知識をセットで確認しておくといいですよ。巻末の年表も歴史の流れを整理するのにうってつけです。日本と世界のできごとを結びつけられるように日ごろから確認しておきましょう!


 本日はここまで。お読みいただきありがとうございました。


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