【自作問題】千葉県入試型(問5)①

 今回も歴史分野からの出題。近現代を題材としています。今回も条件記述を用意しました。近年難易度が高い近現代史を攻略できるかな??前回の問題はこちら

難易度★★★☆

※難易度の目安
〈★☆☆☆〉基礎。千葉県入試よりも易しめ。
〈★★☆☆〉標準。千葉県入試並の難易度。
〈★★★☆〉応用。千葉県入試よりも難しめ。
〈★★★★〉発展。難関国私立入試レベルの理不尽な問題。


↓↓↓使い終わった参考書、お売りください↓↓↓

【問題】



答えと解説はこの後にありますよ!

















【答え】

① ア
②(例)正しい情報を知らされていなかった (16字)
③ インドシナ ④ イ ⑤ ウ ⑥ イ



【解説】

 今回は設問数も多いのでじっくり腰を据えて解説していきます。まずは①からいきましょう。今回は問いが特殊ですね。「正しく述べたものはどれか」とあります。つまり、正誤を判断させる問題ですね。一つずつ選択肢を吟味していきましょう。


 アですが、いきなり判断が難しいですね。革命運動??これはロシア革命の説明??早計に判断せずに一度置いておきましょう。


 イでは「幸徳秋水はキリスト教徒の立場から戦争反対を訴えた」とありますが、何かおかしいですね。そもそも幸徳秋水は「社会主義者」ですよね??彼は1910年の大逆事件で天皇暗殺計画を企てたとして処刑された人物でした。キリスト教徒の立場で非戦論を唱えたのは内村鑑三でしたね。ちなみに与謝野晶子は日露戦争に出征する弟の身を案じ、「君死にたまふことなかれ」を発表しています。非戦論を主張した人はこの三人を押さえておきましょう。ということで、この選択肢は誤りですね。


 ウは「ロシアに朝鮮の独立を認めさせ」というところに違和感を覚えてほしいところ。そもそも朝鮮はロシアに支配されていましたっけ??この時期は朝鮮でしたっけ??


 朝鮮を支配していたのは中国(清)でした。朝鮮は下関条約の後に独立し、1897年に国名を大韓帝国(韓国)に改めています。つまり、この説明は下関条約の内容ですね。よって誤りといえます。


 エは「アフリカでは独立運動が盛んになった」が明らかにおかしいですね。東アジアのできごとがどうしてアフリカに??正しくはアジアの国々やトルコですね。日露戦争以降、日本へ留学するアジアの人々も増えました。


 ということでイ、ウ、エが誤りなので必然的にアが正解といえます。補足をすると、ロシアでは2回大きな革命がおこっています。1回目は日露戦争の最中におこりました。これを「ロシア第一革命」といいます。教科書に「ロシア第一革命」の記載がありませんが、全教科書で説明があります。日露戦争の背景として覚えておくといいでしょう。ちなみに2回目の革命が1917年の「ロシア革命」ですね。


 続いて②の解説を。ミッドウェー海戦に関する条件記述ですね。今回は資料がついています。資料付きの条件記述は近年、地理分野や公民分野で出題が見られます。歴史分野でもいずれ出る可能性がありますね。


 まずミッドウェー海戦の確認をしましょう。ミッドウェー海戦は日本優位の戦局が転換した戦いです。つまり、日本の敗戦。ですが、資料を見ると新聞の発表では艦艇の被害はアメリカの方が多いですね。しかし、実際の損害を見ると日本の方が多くなっています。つまり、政府はミッドウェー海戦の敗戦を伝えなかったということですね。


 その上で、空欄前後に注目すると「国民は太平洋戦争の (  )ということが考えられる」とあります。条件語句は「情報」です。とすると、「正しい(真実の)情報が伝えられなかった」という内容があてはまると判断できますね!大事なのは、資料から読み取れることを整理して、持っている知識と付け合わせて仮説を立てることです。


 ③を見ていきましょう。これは書きづらかったと思います。まず、インドシナ半島とは現在のベトナムやカンボジアなどが位置する半島で、当時はフランスの植民地となっていました。日本は石油や天然ゴムなどの資源を獲得するために1941年7月にインドシナ半島北部に侵攻します。これに対してアメリカは日本に対する石油などの資源の輸出を制限し、イギリス、中国、オランダと協力して対日経済封鎖を行います。これが「ABCD包囲網(包囲陣)」ですね。


 この後も日米交渉は行われますが、1941年11月にアメリカ側が日本軍のインドシナ半島、中国からの撤兵を要求したことにより、交渉決裂となります。そして、1941年12月8日にアメリカの真珠湾への攻撃、そしてイギリス領マレー半島に上陸し、太平洋戦争が勃発します。


 ④に移りましょう。「日米安全保障条約が調印されて安保闘争が起こるまでの時期に起こったことがら」を選ぶ問題です。日米安全保障条約は1951年にサンフランシスコ平和条約と同日に調印しました。そして安保闘争は岸信介が首相だった1960年におこりました。ということで1951年から1960年までにおこったできごとを選べばいいわけですね!選択肢を見ていきましょう。


 アは「池田勇人」がキーワードですね。池田勇人内閣は安保闘争の責任を取った岸信介内閣の後に成立した内閣。つまり、安保闘争がおこった後のできごとなので選べませんね。


 イは「テレビ放送が開始」がキーワードです。三種の神器の一つである白黒テレビは1950年代後半から1960年代前半にかけて普及が進みました。ということは可能性がありますね、一度保留です。


 ウは「朝鮮半島の情勢が悪化」「警察予備隊」がキーワードですね。朝鮮半島の情勢悪化は1950年の朝鮮戦争のことですね。そして、警察予備隊も同じく1950年に設立されました。ウはギリギリ選べませんね。ちょっと難しかったかもしれませんが、2023年度の千葉県入試では誤答の選択肢が1年違いというものが出てきました。年号はしっかり覚えておきたいですね。


 エは韓国政府との国交回復ですから1965年に調印した日韓基本条約の説明ですね。よってこれは選べません。


 ということはイの「テレビ放送の開始」が正解ということになりますね。テレビ放送の開始は1953年のことです。教科書によっては年号が年表ページにしか載っていないということがあります。今回の「テレビ放送の開始」はまさにそれ!年表ページの確認もしておきましょう。


 そして⑤の解説を。キーワードとして「漫画家」「国産アニメの制作に協力」「鉄腕アトム」という語句が見られます。これは簡単かな??正解はウの手塚治虫ですね。アの黒澤明は世界的に活躍した映画監督、イの湯川秀樹は中間子理論によって日本人で初めてノーベル物理学賞を受賞した人物、エは歴史小説の作家として活躍した人物です。新教科書になって現代文化も大幅に加筆されました。千葉県では2018年に湯川秀樹が出題されて以来、現代文化の出題がありません。ねらい目ですね。


 最後に⑥の解説をしていきましょう。ちょっとユニークな出題形式ですね。問われていることは、どの班のレポートの一部かですが、それを判断するためには何を基準にすればいいのでしょうか??



 それは、各班が設定したテーマですね。これに合っているかを見ていきましょう。A班は「日露戦争におけるアメリカの役割」、B班は「昭和初期から太平洋戦争開戦までの日米外交の経過」、C班は「戦後の日米関係」、D班は「アメリカと戦後の文化の関係」をテーマに設定しています。


 そして、レポートの一部では「ロンドン海軍軍縮条約」の説明が書かれています。ロンドン海軍軍縮条約は1930年に調印されたものですね。1930年は昭和5年。ということはB班の「昭和初期から太平洋戦争開戦までの日米外交の経過」が時期的に一致していますね。


 この問題は、突き詰めるとどの班がテーマに設定した時期と一致しているかを判断する問題だったということです。一見とっつきにくい問題も要素分解をしていくことで解き筋が見えてきます。






↓↓↓公立高校に強い湘ゼミ!!↓↓↓