今回は大問4の振り返りを行います。前回記事はこちら。問題は東京都が公開しており、ダウンロードをすることができます(こちらからどうぞ)。
【大問4】全体の難易度〈★★☆☆☆〉
・全体の所感
➝うーん、ちょっと厄介なものもあるが、地理に比べれば十分に解ける。時代のキーワードを身に着けているかが鍵。
・問1 各時代の寺院の並び替え(予想正答率60%)
➝各時代の権力者が建てた寺院を並び替える問題。とはいえ、時代を判別できるキーワードは明確なのでそこまで苦戦するほどではない。選択肢ごとのキーワードは、アが「金閣」、イが「東大寺」、ウが「法隆寺」、エが「中尊寺金色堂」。よって順番は、法隆寺(飛鳥時代)⇒東大寺(奈良時代)⇒中尊寺金色堂(平安末期)⇒金閣(室町時代)となります。
・問2 安土・江戸時代に実施された経済政策の時期(予想正答率50%)
➝これも東京の入試の定番ですね。説明文から説明内容の時期を年表から選ぶ問題。あるキーワードに注目すれば比較的に解けるのですが、問題は安土桃山~江戸時代の政権担当者の順番を正しく理解できているかでしょうか。
さて、説明文で注目すべき表現は「新田開発の奨励」でしょう。この段階で「ああ、徳川吉宗だな」って思える人はさすがですね!東京都は問3で紹介したように、ミスリードを用意していることもあるのですが、今回は素直に選べばよい問題でした。
ちなみに他にも徳川吉宗(享保の改革)の内容だと判断できるキーワードがあります。それが「将軍と同じく、紀伊藩出身」「洋書の輸入制限を緩和」です。とりわけ、「洋書の輸入制限の緩和」は押さえておきたいところ。これによって蘭学が発達を見せ、18世紀には化政文化が隆盛します。杉田玄白や伊能忠敬が活躍できたのも吉宗のおかげというわけです。
・問3 明治時代に操業した工場(予想正答率40%)
➝これが一番難しいかな。まずは、時代を特定できるキーワードを探します。判断しやすいのはイとウ。イは「生糸」「官営模範工場」というキーワードから現在の群馬県に建設された富岡製糸場であると判断できます。ウは「官営の製鉄所」というキーワードから現在の福岡県に建設された(官営)八幡製鉄所であると判断できます。
また、日本の産業革命が軽工業⇒重工業の順番で進んだことも理解できていれば、年号が分からずともイ⇒ウの流れは見えてきます。
残ったアですが、「民間の紡績会社」とあり、地図を見るとB地点が大阪付近にあることが読み取れます。よってこれは実業家の渋沢栄一が中心となって設立した大阪紡績会社であると判断できます。余談ですが、新1万円札の肖像画になることもあってどこの都道府県の入試でも引っ張りだこですね、渋沢栄一。
問題はアとイの時期の判断ですね。ちなみに年号で整理するとアが1882年、イが1872年、ウが1901年となりますが、年号を使わなくても判断できなくありません。軽工業の発達が国家主導から民間主導に移行していったことを理解できれば富岡製糸場⇒大阪紡績会社と判断できたのではないでしょうか。
とはいえ、同時代の並び替えは難易度が一層高まります。近現代は年号を覚えておくことが無難といえます。
・問4 昭和・平成の企業の技術開発の出来事(予想正答率70%)
➝選択肢の文が年表内のどの時期と一致するか選択する問題です。すべての選択肢を判断しなければならないため、並び替え問題と考えても差し支えないでしょう。ここでも時代を判断できるキーワードを探していきます。
アは「バブル経済が終わり」「インターネットの普及」から1990年代の出来事、イは「GHQ」「民主化政策」から戦後直後の1940年代後半だと判断できます。ウは「石油危機」から1973年ごろ、エは「東海道新幹線が開業」から1964年ごろと推定できます。ちなみにエは「国民所得倍増計画」からも判断できます。池田勇人は最近、公立入試問題に引っ張りだこなので押さえておきたいですね。
アとイは時期が極端なので判断しやすいですが、ひっかかるとしたらウとエ。さらにいやらしいことに年表BとCの区切りを1972年にしているという。東京の入試に対応するために、やっぱり年号は押さえておきたいですね。
大問5の解説はこちら。ぜひお読みください。