今回は今までの振り返りを踏まえて今年度の傾向をまとめたいと思います。問題は東京都が公開しており、ダウンロードをすることができます(こちらからどうぞ)。
また、大問ごとの振り返りは以下にまとめてあります。
【大問1】 【大問2】
【大問3】 【大問4】
【大問5】 【大問6】
【2023年度入試】
難易度〈★★★★☆〉
昨年度との比較〈昨年度並み〉
予想平均点〈50点前後〉
・2023年度入試のポイント
① 複数の根拠をもとに判断させる問題の増加
都立入試では説明文からの読み取りが多数出題されますが、説明文中に複数の根拠を見つけられないと解けない問題が増えています。たとえば、大問3の問1などはその典型です。「施設栽培」「ピーマン」だけに着目するとついつい宮崎県を選びたくなるように作られています。輸送手段と輸送にかかる時間を根拠にできないと茨城県と宮崎県の区別がつかないことを踏まえると、早合点は失点の原因になるでしょう。
また、受験生を混乱させるようなキーワードが散りばめられているのも厄介です。先ほどの茨城県の説明には「砂丘」という語句が出ています。受験生がまず「砂丘」と聞いて思いつくのは鳥取県でしょう。必要な知識と不要な知識を判別する知識の正確さが求められている問題構成ともいえます。
〈対策〉
・日ごろから教科書を読む習慣をつけること。特に地理分野は世界の国々ごとの特徴、都道府県ごとの特徴を整理できると良い。
・必ず作業をしながら解くこと。判断材料になるキーワードにはチェックを入れるようにしよう。
・一つのキーワードに注目しすぎて早合点しないこと。できる限り複数の根拠をもとに判別し、それが難しい場合は他の選択肢を吟味しながら消去法を活用していこう。
② 90点以上取るためには細かな知識が必要
判断させる知識がかなり細かくなっています。とりわけ厄介だったのは大問5の問1。これは介護報酬が国によって決定される公共料金であることを理解していないと解けない問題でした。去年に続き、満点阻止問題が出されていると感じさせる難易度です。
また、説明文中のキーワードも比較的易しいものと難しいものが散りばめられて作られています。たとえば大問6の問1は「パナマ運河」や「ザンビアの産業構造」を理解していると解きやすくなりました。ただ、これらの知識は絶対必須の知識という訳でなく、どちらかというと細かな知識といえます。都立入試で90点以上取るということは2問しか落とせないということです。高得点を狙うとしたら教科書の隅々まで理解する必要があるでしょう。
〈対策〉
・教科書本文だけでなく、欄外の資料やコラムの内容も確認しておくこと。
・模試や過去問の解き直しを行い、解説をしっかり読み込むこと。
③ 知識よりも読み取りを重視した条件記述
例年2題出題されますが、他県と比べると異質な条件記述といえます。極端なことを言えば、知識はほとんど必要ありません。ただ、資料から問われていることを正確に読み取る必要があります。その意味では、問いを正しく理解したうえで資料を読み取る読解力が他県以上に強く求められているといえます。
〈対策〉
・問われていること、条件に必ず線引きすること。
・解き直しを行い、模範解答のどの部分が問われていること、条件にあたるか整理すること。
今後の対策になれば幸いです。お読みいただきありがとうございました。