【自作問題】東京都入試型(問3)①


 前回は世界地理を題材としたので、今回は日本地理をもとに作成ました。河川を題材とした東京都入試タイプの自作問題です。ぜひ、挑戦してください。解答・解説は問題画像の後ろにあります。前回の問題はこちら


難易度〈★★☆☆〉

※難易度の目安
〈★☆☆☆〉基礎。東京都入試よりも易しめ。
〈★★☆☆〉標準。東京都入試並の難易度。
〈★★★☆〉応用。東京都入試よりも難しめ。
〈★★★★〉発展。難関国私立入試レベルの理不尽な問題。




























〈答え〉
W:イ X:ウ Y:エ Z:ア

〈解説〉
 東京都の読み取り問題は大小さまざまなヒントを駆使して答えを特定していくという解き方になります。早速見ていきましょう。


【ア】
 まず注目したいのが「城下町を起源とした地方中枢都市があり,自動車工業などの機械工業が盛ん」という表現ですね。これをもとに中国・四国地方の地方中枢都市である「広島市」と判断してZ(太田川)と判断したいところですが、ちょっと待ってください。W(北上川)流域にも城下町を起源とした東北地方の地方中枢都市である「仙台市」があります。ということは一回判断を保留したほうがよさそうですね。


【イ】
 意外と注目したいのが「二県にまたがって流れて」という表現。これをどう解釈するか。二県にまたがっているということは長さがそれなりに長いということ。その上で、「流域下流には広大な平野が形成されており,『ひとめぼれ』などの銘柄米が栽培されている」という表現に注目しましょう。日本の米どころといえば、東北地方や北陸地方がすぐに出てきますね。ということはW(北上川)かX(阿賀野川)が考えられます。これも一度保留しましょう。





【ウ】
 「春先に見込まれる豊富な水量を活用した稲作」とあり、イと同じく稲作が盛んな地域と読み取れます。ということはW(北上川)かX(阿賀野川)のいずれかである可能性が高まりました。その上で、判断できる材料として「二つの地方にまたがってながれて」に注目できればgood!!「県」ではなく、「地方」ですからかなり選択肢を絞れるでしょう。略地図に注目するとX(阿賀野川)は中部地方(新潟県)と東北地方(福島県)に流れていることが読み取れるのではないでしょうか。よってウはX(阿賀野川)で確定です。ちなみに、「春先に見込まれる豊富な水量を活用した稲作」とは雪解け水を活用した稲作のことですね。ここから判断できた人はさすがですね。


 余談ですが、X(阿賀野川)の右側にある湖は猪苗代湖(福島県)です。そして、工業排水による公害とは新潟水俣病を指しています。こちらから判断することもできたでしょう。


【エ】
 一番簡単な判断の仕方は災害の発生回数に注目することですね。「渇水」の発生回数が30回と群を抜いて多いことが読み取れます。ということは水不足が起こりやすい地域。それで思いつく地域といえば、ため池などが古くからつくられてきた瀬戸内の地域ですね!ということでエはY(吉野川)で確定です。


 ちなみに「二県にまたがって流れており」からでも判断できなくありません。先述の通り、それなりに長い河川である可能性があります。X(阿賀野川)で確定、Z(太田川)はさすがに二県にまたがっていなさそう。W(北上川)はア、イいずれかの可能性が高い。よって消去法的に判断することができます。


【アとイの判断】
 すでにある程度、情報が整理できてきました。イの説明文をさらに読み下してみると「流域を通る高速道路周辺には半導体や自動車関連工場が見られる」とありますね。これは東北地方の工業の特色ですね!東北地方は高速道路網が整備されたことで集積回路(IC)を生産する半導体工場や自動車関連工場が高速道路周辺に進出してきました。先ほどの稲作の話も含めて判断するとイはW(北上川)と判断できます。


 余談ですが、イとウの判断は「ひとめぼれ」「コシヒカリ」からも判断できます。「コシヒカリ」は新潟県が中心の銘柄米です。一方、「ひとめぼれ」は宮城県が中心の銘柄米です。


 いきなり答えを特定しようとすると痛い目を見ることがあります。答えを絞りつつ、多角的に判断する力を養っていきましょう。